『箱根八夜』が開催される週は、一週間前から四色に染められた8本のイベントののぼり旗が甘酒茶屋を取り囲み、イベントが近付いていることをみなさまにお知らせ致します。この光景をカメラにという方がとても多く見えます。またイベント中は、舞台の装飾として演奏者たちを囲み、独特なステージ演出に一役買います。油の灯火に照らされた薄暗さの中での彩りも味わいがあります。
第七夜・秋の特別コーナーとなるアート&ミュージックコラボレーションイベント『妖怪おどり』のパフォーマンスでは、この旗の並べ方が昔の『見世物小屋的』なものとなり、異世界感漂う舞台セットとなりました。
また千秋楽となる第八夜・音楽劇『神崎与五郎 東下りの詫び証文』では、舞台の後ろ幕となり、歌舞伎のような雰囲気をも醸し出しました。
この旗制作は、筆文字屋『翔空』河野友子さん(書)と広瀬玲子さん(アート・デザイン担当)とのコラボレーション的な連動で進められています。河野さんの書はこのHPのタイトルを始め、チラシや記事などの全てに共通で使用されています。広瀬玲子さんは、その写真を元に版を削り、さまざまな色で染め上げ、一品ずつの旗を完成させて行きます。(写真 広瀬玲子さん)
広瀬玲子さんは、数年前から染色布や紐で作られたアート作品の野外展示なども手掛けており、昨年2013年は箱根甘酒茶屋の近所でもある『お玉ヶ池』にて、『作品を歩かせる』という異色のアートパフォーマンスイベント『偶然の森』を開催しています。またその時の写真は、インパクトの強さから『箱根八夜』の演奏メンバーが制作したアルバム『呼吸する箱根』のジャケットにも選ばれました。
このふたりを中心に『箱根』『甘酒茶屋』『演奏』などのイメージがすりあわせされ、文字デザインの方向性を詰め膨大な時間をかけ、そこから生まれた数十点も書の中からこの文字が選ばれました。決定した文字は八枚の旗にとどまらず、チラシや八夜の衣装であるハッピ、そして手ぬぐいにいたるまで全てに統一で使われています。
(写真 筆文字屋『翔空』さんと八夜出演者)
この制作過程が、広瀬玲子さんのブログからご覧頂けます。
『箱根八夜ののぼり旗を作る』全15話